資源の発生元となる顧客並びに排出事業者から建築構造物やプラント・機械設備の解体・撤去工事を直接請負います。また、解体工事現場で発生する副産物の再生資源を当社グループの他セグメント及び包括業務提携先へ供給することにより静脈産業における「ワンストップ・サービス」を提供し、有機的なリサイクル・ループを形成します。
解体事業は、あらゆる建築構造物を解体・撤去する事業です。当社グループの事業の特徴は、当社の環境事業及び金属事業とのシナジーを活かしたサービスを提供できることにあります。
具体的には、建物を単に解体する工事だけに留まらず、解体工事現場で発生する瓦礫などの産業廃棄物を自社の中間処理工場に持ち帰って選別・加工を施すことによって建築資材などの再生資源として蘇らせてリサイクルするほか、鉄や非鉄などの金属類は別途当社の金属加工工場に持ち帰って選別・加工を行い、金属再生資源として循環させています。
このようにバックアップとしての環境保全機能を持つことによって、顧客に対する広範な安心・安全という付加価値を提供しています。また、「特定建設業」の許認可を有していますので、下請け会社に対する発注金額が4千万円以上の大型解体案件に関しましても、元請会社として施主である顧客からの直接受注が可能になっています。
当社は、平成29年4月に株式会社国徳工業を完全子会社化することにより経営統合をいたしました。同社は、多年に亘り、種子島ロケット発射台解体工事をはじめ、その他発電設備や石油・化学プラントなど複雑な大規模工場の解体工事の施工実績を有しており、今後は当社とのシナジーを活かした事業を展開してまいります。
なお、当社を含めた7社包括業務提携と全国の同業他社とのアライアンスネットワークにより、全国どこでも同等の環境保全と安心・安全のサービスが提供できる体制を構築しています。
解体工事の需要は堅調に推移し、化学プラントや重油タンクなどの大型案件15件を含め、209件の解体工事を施工しました。特殊な環境の中で施工する大型医療機器や産業機械等重量物の解体・撤去サービスも堅調に推移いたしました。
これらの結果、売上高は1,743,831千円(前年同期比26.3%増)、営業利益は133,703千円(同5.0%減)となりました。また、受注残高につきましても824,624千円と順調に推移しております。
当社の環境事業は、主として、産業廃棄物収集運搬及び中間処理並びに再生資源販売を中心に事業を展開しています。
顧客としては、製造業、建設業を中心に、生産工程や建設現場から発生する廃棄物や使用済みになった機械類などを自社運送部門が収集するほか、当社工場にて受け入れを行い、選別・加工を施した後、再生資源として販売します。
産業廃棄物処理においては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により厳しい規制があり、コンプライアンスが最重要な位置づけとなります。顧客である排出事業者においても、今後ますますコンプライアンスに則った事業者との取引が重要視されています。その前提を基に、産業活動による資源有効利用促進と環境負荷低減が企業の社会的責任、道義的責任に対して重要となっております。
環境事業の売上は大きく二つに分類されます。売上の一つは、廃棄物処理受託売上となります。これは製造工場の生産工程や物流倉庫から発生する産業廃棄物及びビルやプラントなどの建設工事で発生する建設系産業廃棄物など、あらゆる事業活動に伴って生じる廃棄物の中間処理受託業務に基づくものです。ここでは、廃棄物は当社に入荷し、廃棄物排出事業者からは処理料金を貰い受けております。
もう一つの売上は、当社に入荷した様々な産業廃棄物を選別、分解、破砕、圧縮などの製造工程を経て、鉄や非鉄金属類、プラスチックや木材などの素材ごとに分類して再生資源として出荷、販売することです。当社は使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律に基づく再資源化事業者の認定を受けており、様々な家庭用電気・電子機器類のリサイクルも行っております。
また、当社が有している許可対象外の廃棄物や排出場所が遠方に位置するなどの場合、当社の中間処理施設には持ち込まずに、当社が仲介することで、当社以外の処理業者へ直接搬入する業務も行っています。この業務も顧客に対する重要なサービスの一つとなっております。
環境事業セグメントは、産業廃棄物の処理受託による売上高と、入荷した産業廃棄物を選別・加工したうえで再生資源として販売することによる売上高により構成されておりますが、産業廃棄物処理受託売上高は堅調に推移しました。また、小型家電や厨房機器などの金属とプラスチックなどの複合製品を破砕する大型シュレッダー設備を更新したこと及び再生資源販売の販路を新たに開拓したことにより、廃棄物処理受託数量28,789トン、再生資源販売数量16,474トンと堅調に推移しました。
これらの結果、売上高は1,534,226千円(前年同期比0.9%増)、営業利益は113,040千円(同165.4%増)となりました。
鉄・非鉄などの金属類のみを集荷して加工し、製鋼原料などの金属系再生資源として主として製鋼メーカーなどに出荷・販売します。また、使用済み自動車(ELV=End ofLifeVehicle)を解体し、再生資源として出荷すると共に自動車部品の販売も行います。
金属事業は、昭和48年当社創業以来45年にわたる事業であり、当社の安定基盤となっています。様々な産業活動から発生する鉄や非鉄の金属スクラップを発生元から仕入れて、自社工場にて選別・加工し、付加価値を高めて電炉や高炉など製鋼メーカーに出荷することで、ほぼ100%のリサイクルを達成しています。
金属事業の売上は、鉄、非鉄スクラップともに、相場変動による影響を受けます。相場変動により販売単価は変動しますが、仕入単価も同時に連動して変動しますので、仕入から販売までの加工工数を短縮することによって、利益に対する相場変動の影響を最小限に抑える事業運営を心がけております。
このことは、販売先のニーズである「製鋼原料の安定供給」を満たすことでもあり、顧客である製鋼メーカーからの多年にわたる信頼を得ることに繋がり、安定基盤の所以となっております。
スクラップの取扱高は61,074トンと堅調に推移しました。一方で、当連結会計年度における鉄スクラップ価格は海外市況の下落の影響を受けて国内価格も4月以降期末にかけて約30%以上下落しました。本セグメントの売上高はスクラップ相場に連動して変動します。仕入価格も販売価格と同様に相場に連動して変動するため、利益は相場変動による影響を受けにくい仕組みになっていますが、仕入から販売までの加工に日数を要するため、相場が短期間に急激に下落したり継続して下落し続けた場合にも利益が圧迫されることになります。
これらの結果、売上高は2,972,647千円(前年同期比16.6%減)、営業利益は58,060千円(同40.3%減)となりました。